三角形におけるキーペルト双曲線(キーペルトそうきょくせん、Kiepert Hyperbola)とは、三角形の3つの頂点と重心と垂心を通る双曲線である。また外接円錐曲線の一種である。名前はドイツの数学者であるルードヴィヒ・キーペルトに由来している。

キーペルト点と存在証明

キーペルト点は、以下の手順で作図される点である。

  1. 三角形 ABC に対し、∠xBC = ∠xCB = θ となる点 x をとる。
    • θが正の時は x は BC に対し A と逆側に取る。θ が負の時は x は BC に対し A と同じ側に取る。
  2. 同様に y, z をとる。
  3. Ax, By, Cz の交点 N がキーペルト点である。

キーペルト点の軌跡がキーペルト双曲線となる。

3線が1点で交わることは以下のように証明できる。

  • Ax と BC が交わる点を D とする。
  • BD : DC = △ABx : △ACx = AB sin(B θ) : AC sin(C θ)
  • 同様に B とCA の交点を E, Cz と AB の交点を F とすると
    CE : EA = BC sin(C θ) : AB sin(A θ), AF : FB = AC sin(A θ) : BC sin(B θ).
  • チェバの定理の逆より AD, BE, CF は1点で交わる。これはヤコビの定理として一般化されている。

性質

上述の式からキーペルト点の重心座標は以下のようになる。

(a/sin(A θ), b/sin(B θ), c/sin(C θ)).

ここで、a = BC, b = CA, c = AB である。

キーペルト双曲線の重心座標による式は以下のようになる。

(a2b2)xy (c2a2)xz (b2c2)yz = 0.

漸近線は、ブロカール軸と外接円の交点から求められるシムソン線であり、その交点X(115)は重心座標によって以下のように表される。

((b2c2)2, (c2a2)2, (a2b2)2).

この点は九点円上にある。

三角形が二等辺三角形のとき、この双曲線は2本の漸近線に退化する。正三角形のとき、上述の重心座標の式の左辺は0になるため定義できない。実際 θ=-60° のとき、任意の点 P に対して AxP ByP CzP の3組は同一直線上にある。

ブロカール軸上の点の等角共役の軌跡はキーペルト双曲線である。

線上の主な点

以下の点はキーペルト双曲線上にある。

  • 3つの頂点
  • 重心
  • 垂心
  • フェルマー点
  • ナポレオン点
  • 中点三角形の内心(シュピーカー点)
  • 第三ブロカール点
  • タリー点
  • ベクタン点

脚注

関連項目

  • 接円錐曲線
  • キーペルト円錐曲線

外部リンク

  • Weisstein, Eric W. "Kiepert Hyperbola". mathworld.wolfram.com (英語).

三角形のキーペルト双曲線(Kiepert Hyperbola) YouTube

双曲線(x軸と交点をもつ) GeoGebra

三円交線その3 GeoGebra

双曲線

合成関数の微分 GeoGebra