ヒトの閉鎖神経(へいさしんけい、英: Obturator nerve)は、腰神経叢の第2、3、4腰神経の腹側分枝から発生する。この神経は運動神経として、大腿の内転筋群を支配し、大腿内側の感覚を支配する。
構造
閉鎖神経、L2、L3、L4脊髄神経根の腹側部分を起始とする。大腰筋の線維に沿って下降し、その内側縁、骨盤分界線近傍で骨盤内に出る。その後、総腸骨動脈の後方を下行して、内腸骨動脈および静脈の外側を通り、小骨盤の側壁に沿って、閉鎖動脈・静脈の前上方を通り、閉鎖孔の上部に至る。
ここで閉鎖神経は、閉鎖管を通って骨盤外に出て前枝と後枝に分かれるが、これらの枝は、最初は外閉鎖筋の線維の一部によって、下は短内転筋によって分離される。
副閉鎖神経は、一般人口の約8%~29%に存在する可能性がある。
分枝
- 閉鎖神経前枝
- 閉鎖神経後枝
- 閉鎖神経皮枝
機能
この神経は、大腿内側の皮膚の感覚神経支配を担っている。
この神経はまた、下肢の内転筋(外閉鎖筋、長内転筋、短内転筋、大内転筋、薄筋)および恥骨筋の運動神経支配を担っている。名称は類似しているが、内閉鎖筋の神経支配を担っていないことは注目に値する。
臨床的意義
膝の手術や尿路の手術の際に、他の麻酔法と併用して閉鎖神経ブロックが行われることがある。
画像
脚注
出典
参考文献
この記事にはパブリックドメインであるグレイ解剖学第20版(1918年)953ページ本文が含まれています。
- 伊藤隆『解剖学講義』南山堂、1983年10月1日。ISBN 978-4-525-10051-3。
関連文献
- Reg Anesth Pain Med. 2009;34:33-9 - 閉鎖神経の解剖
- Biomed Res Int. 2017;2017:7023750 - 超音波ガイド下神経ブロック法のまとめ
- Reg Anesth Pain Med. 2017;42:357-61 - 近位法による閉鎖神経ブロックの薬液の広がりについて(解剖体)
- J Anesth. 2022;36:383-9 - 閉鎖神経ブロックの薬液の広がりについて(生体)
関連項目
- 死冠 - 閉鎖動脈の破格。鼠径ヘルニア手術の大出血の元凶として恐れられた。
外部リンク
- Obturator nerve - Duke University Health System's Orthopedics program
- cutaneous field at neuroguide.com - デルマトームの神経支配(英語)




